塩化揮発法とは

4. 塩化揮発法とは

概要

「塩化揮発法」とは、非鉄金属酸化物を含む粉体(主成分は酸化鉄)に塩化カルシウムを加えてペレット状とし、ロータリーキルンで加熱処理することにより非鉄金属を揮発除去する手法です。

鉄と非鉄金属の両方を含む原料から非鉄金属を分離・回収し、それぞれを製鉄原料および非鉄精錬原料としてリサイクルしています。

成り立ち

当初塩化揮発法は、硫化鉄鉱から硫酸を製造する過程で発生する硫酸焼鉱を原料とし、製鉄原料用ペレットを製造すると同時に、焼鉱中に含まれる非鉄金属を回収する目的で開発されました。
現在は、原料を製鉄集塵ダスト及び産業廃棄物の焙焼焼鉱に替えましたが、資源循環における重要なプロセスとして位置付けられています。

原理

塩化揮発法ではまず、ロータリーキルン内の800℃以上のエリアで塩化カルシウム(CaCl2)の塩素(Cl)と、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)などの非鉄金属酸化物が反応し、塩化物となります。(塩化反応)

MO + CaCl2 → MCl2 + CaO

続いて、塩化物となり沸点の低下した非鉄金属がロータリーキルン内の1,000℃以上のエリアで揮発し除去されます。(揮発反応)

MCl2 → MCl2↑
※Mは非鉄金属元素(Cu、Zn、Pb等)を表します。

5. 塩化揮発法を使った資源回収プロセス

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造粒工程

銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属を含有する酸化鉄粉に塩化カルシウムを添加し混練、造粒、乾燥します。塩化カルシウムは塩素源として使用すると同時に、バインダーとして乾燥ペレットの強度を上げます。 強度のある乾燥ペレットはロータリーキルン内での転動に耐え、安定した焼成が可能になります。

塩化揮発焼成工程

ロータリーキルンに装入されたペレットの温度は徐々に上昇し、最高1200℃~1250℃にまで達します。 この間、銅、亜鉛、鉛等の非鉄金属はペレットから塩化物ガスとして除去され炉のガス中に移行します。 ペレット中の非鉄金属は除去され、且つ高温で焼成硬化されて製鉄原料になります。

ガス洗浄工程

ガス冷却塔、洗浄塔、ミストコットレルにて、炉ガスとして排出される金属塩化物ガスを水で冷却、捕集、溶解します。

液処理工程

液中に溶解した銅、亜鉛、鉛、その他有価元素を分別しながら回収し、回収物は製錬原料として再資源化します。